予測寿命と平均故障間隔(MTBF)の違い

Close-up of a rack-mounted server with multiple hard drive bays and status indicator LEDs
故障分析と予測寿命の計算は、機器のサービス寿命とメンテナンスコストを評価する際に不可欠です。このような評価に使用される2つの指標—平均故障間隔(MTBF)と予測寿命—は時々混同されることがあります。そこで、その意味の違いを探ってみましょう。

信頼性指標の重要性

企業レベルでの機器導入には、購入コスト、メンテナンスコスト、および交換タイムラインの理解が必要です。これら3つの要素は、総所有コスト(TCO)を計算するために使用されます。さらに、メンテナンス要素と予測寿命はサービスの全体的な品質に影響を与える可能性があります。平均故障間隔(MTBF)と予測寿命は、サービスレベルとTCOを予測するために使用される2つの重要な信頼性指標です。両方とも異なる信頼性の側面を対象としています。

平均故障間隔とは何か?

Factors affecting MTBF
MTBFは、機器に故障が発生する確率を指します。これは主に修理可能な機器や交換可能なコンポーネントで有用です。MTBFは修理サービスの統計的必要性を推定するために使用されます。

故障の回数をカウントし、総運転時間を故障数で割ることで、MTBFを直接計算できます。ただし、MTBFは通常、製品に使用されているコンポーネントとそれらの個別の実績の統計的分析によって推定されます。MTBFは時間単位で表されます。例えば、100,000時間のMTBFは、平均して機器を100,000時間使用するごとに故障が発生すると予想できることを示しています。MTBF計算は、製品の動作寿命中、一定の故障率が続くことを前提としています。しかし、実際の故障は製品寿命の初期と製品寿命の終わりに近い後期に多く発生します。

MTBFは個々の製品よりも大規模な設備において有用な指標です。例えば、平均的なパーソナルコンピュータ(PC)の電源はのMTBFは100,000時間以上(11年以上)となっています。PCが時代遅れにならずに11年間稼働し続けることはまれです。したがって、ユーザーはPCの寿命期間中に電源故障が起こったときのための計画を立てる必要はありません。

しかし、何千台ものサーバーを有するデータセンターの例では、状況は異なります。MTBFと併せて統計的な平均をとると、この電源装置の中の一部は耐用年数に達する前に故障することが分かります。手元に置く交換用予備品の数量は、設置された電源装置の全体的なMTBFに基づいて決定されます。

予測寿命とは何か?

Factors affecting lifetime expectancy
製品の予測寿命は、製造から廃棄までの期間として定義されます。個々の機器や多数のユニットを導入する際、予測寿命は交換サイクル、アップグレード期間、およびTCO(総所有コスト)を見積もるために使用されます。

上記のデータセンターの例では、サーバー電源装置の予測寿命は10年かもしれません。多くは10年をはるかに超えて持続する可能性もあります。しかし、計画外のダウンタイムが許容できないレベルになるところまで、故障の可能性が増加し始めるでしょう。このシナリオの結果として、データセンター管理者は10年目付近で各サーバー電源装置を交換する計画を立てるでしょう。

主な両者の違い

基本的に、予測寿命は予定されたアップグレードや資産の交換を計画するために使用され、一方MTBFはメンテナンスサイクルとダウンタイム軽減の計画に使用されます。MTBFは製品の寿命全体を通じて一定の率として示されます。予測寿命は、図1に示すように「バスタブカーブ」で視覚化されることが多いです。

予測寿命を表す典型的なバスタブカーブ
図1:予測寿命を表す典型的なバスタブカーブ
両方の数値は購入決定とTCOの算出に使用されます。予測寿命は資産管理と長期計画においてより重要な役割を果たします。MTBFはメンテナンス、サービス品質、およびライフサイクルコスト計算に関わる要素となります。

修理 vs. 交換:両方とも影響のある要因です

MTBFと予測寿命は、商業用および産業用機器を導入する際に役立つツールとなりますが、両者は意味と目的が異なります。ユニット全体の交換やアップグレードを計画する際は、予測寿命を目安にします。修理費用や早期故障による交換費用を見積もる際は、MTBFを使用します。現実の世界では、両方の要因が重要であり、両者を組み合わせて考慮することは、TCO分析のための貴重なツールとなります。
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