図1: RECOMのDC/DCコンバータは、超小型パワー・ソリューションを実現する3DPP技術を採用(出典: RECOM)
パワー半導体は、スマートフォンから自動車に至るまで、あらゆる電子システムに不可欠な部品であり、パワー半導体の進歩はグリーン経済への移行を加速します。
より新しく洗練されたDC/DCコンバータ設計は、効率向上によるエネルギー消費の削減に貢献しています。最高のDC/DCコンバータは、設計革新と
炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN) などの新素材へのアクセスによって更に改良され、変換効率は95%を超えています。グリーンテクノロジー製品の設計者は、例えば世界の再生可能エネルギー市場で使用されるパワー半導体の数が、現在から2027年の間に年平均成長率(CAGR)8~10%で成長すると予想されている事実に注目しています。
効率の向上はパズルの1ピースであり、電力密度の向上は、設計者が同じ体積により多くの電力を収めることを可能にするためのもう1つの要素となります。したがって、新しいアプリケーションは、以前のものと同じスペースでより多くの機能を実現したり、より小さなスペースで同等の機能を提供することができます。これは、多くのグリーン・アプリケーションが機械式デバイスを電子式デバイスに置き換えているという事実を考慮すると、特に重要です。例えば、電気自動車(EV)は、ベルト駆動の機械式HVACユニットやパワーステアリングポンプを、ボンネット内の限られたスペースに収まる電子式に置き換えています。小型化は軽量化につながり、1つの装置としては大したことはないように思えるかもしれませんが、こうした小さな軽量化によって航続距離は伸びるのです。
図2: サイズ縮小のために多くの高度な製造プロセスを使用する3DPP技術。(出典: RECOM)
システム性能の最大化には、すべての電源、電力変換装置、フィルター、保護装置、およびコネクタ、ワイヤ、ケーブ ル、回路基板トレースなどの相互接続する電源サブシステムの性能を最大化することが含まれます。
考慮すべき指標には、サイズ、重量、電力(SwaP)、またはコストを加えたSwaP-Cがあります。三次元パワーパッケージ(3DPP)は高度なパッケージング技術であり、電力変換設計者はSWaP-Cを最適化しながら、多くの最先端技術を高密度の集積デバイスに組み合わせることができます。3DPPは、最小の実装面積で最大の電力密度を達成するために、最先端の組立プロセスを採用しています。面実装DC/DCコンバータと3DPPの融合により、クラス最高の性能と最大電力密度、最小フットプリントを併せ持ったソリューションが実現します。この結果、他の電力変換モジュールよりも大幅に小型で、なおかつ高価なフットプリントを必要としない高効率の電力製品を手に入れることができます。
3DPPテクノロジーは、必要なコンポーネントをリードフレームに直接実装することで、内部のプリント回路基板(PCB)を不要にし、モジュール内の必要なスペースを削減します。このサイズ削減により、エンジニアや設計者は、コストのかかる
カスタム・コンバータ設計を必要とすることなく、電力変換を統合したより合理的なPCBプロファイルを持つことができます。
もちろん、3DPP技術が完成するまでには、数多くの製造上の進歩が必要でした。受動素子と能動素子の両方を内蔵する特性、フリップチップ技術の導入、ピン、バンプ、パッドなどパッケージ内部の相互接続によって生じる誘導寄生と容量寄生を最小限に抑える技術などがその例になります。
インダクターやトランスなどの平面磁気部品の開発は、コンパクトなフォームファクターで、よりクリーンで、厳密に制御され、再現性が高く、堅牢な磁気部品の製造を可能にしたため、もうひとつの重要なステップとなりました。
RPX-1.0DC/DCコンバータ: 小型パッケージの完全なDC/DC降圧レギュレータ
3DPP技術に対応したデバイスは、ランドグリッドアレイ(LGA)、ガルウィング、クワッドフラットノーリード(QFN)、ブロック&ピラー、はんだボールなど、複数のパッケージタイプで提供されており、スペースに制約のあるアプリケーションで大きなメリットを生み出すことができます。
RECOMのRPX-1.0は、3DPPパッケージ技術の利点を示しています。RPX-1.0は非絶縁型降圧レギュレータパワーモジュールで、熱強化
QFNパッケージにインダクタを内蔵しており、サイズはわずか3mm×5mm×1.6mmで、集積回路(IC)に匹敵します。入力範囲はDC4~36Vで、5V、12V、24Vの電源電圧を使用できます。出力電圧は2つの抵抗でDC0.8VからDC30Vまで設定でき、出力電流は最大1Aです。また、連続短絡、出力過電流、過熱故障に対して完全に保護されています。
RECOM RPMB/RPMHシリーズは、11.7mm×12.19mm×高さ3.75mmの熱強化25パッドLGAパッケージ30W非絶縁型パワーモジュールです。この電力密度は、プラグド・ビアとブラインド・ビアを利用した多層内部PCBである3DPP技術と、良好な熱伝導性と利用可能なスペースの効率的な使用により達成されています。また、6面金属シールドにより、低EMIを実現しています。
3DPPパッケージは絶縁型トポロジーにも適しています。RxxCTxxSは、低コスト、薄型、500mW SMD絶縁型DC/DCシングル出力コンバータのファミリで、太陽光発電センサ設備、
医療アプリケーション、通信ノードなど、堅牢な絶縁を必要とするアプリケーションに最適です。R05CT05Sは、5V入力とユーザー定義可能な単一のレギュレ―テッド3.3Vまたは5V出力を備えた単一ソリューションです。最小負荷要件はありません。標準絶縁は毎分AC5kVで、医療用アプリケーション向けには、2MOPP定格が対応しています。
結論
多くのグリーン・エネルギー・アプリケーションでは、小さなフォーム・ファクターで効率的に動作するDC/DCコンバータが必要とされています。RECOMの3DPP技術は、
高電力密度と超小型サイズを兼ね備えた
絶縁型 および
非絶縁型コンバータに数多く採用されています。