従来のAC電源システムでは、複数の変換段で電力損失と発熱が生じるうえ、低電圧・大電流の配電に大きな導体断面積が必要となるため、AIラックの電力が増加するにつれて効率が低下し、拡張も難しくなる可能性があります。
従来のデータセンターの電力供給では、変電所の変圧器を使用し、送電線の高電圧交流を、北米では480VAC、その他の地域では400/415VACなど、地域に応じた三相交流の配電電圧に変換する場合があります。 バッテリーバックアップユニット(BBU)や
エネルギー貯蔵システム(ESS)を使用すると、施設の電源からラックまでの間に変換段が追加される場合があります。
各変換段では電力損失と発熱が生じる一方、さらに下流で必要となる低電圧・大電流の配電では、必要な導体量も増加します。 続いて、中間段の電源とポイントオブロード電源が、供給されたバス電圧を、プロセッサ、GPU、その他の電子負荷が必要とする低い電圧に変換します。
個々のAIラックの電力がメガワット級に近づく中、業界では、こうしたラックに対応する電源アーキテクチャの開発が進んでいます。拡張に伴う課題の一例として、NVIDIAは、54VDCで1MWを供給する場合、ラックのバスバーだけで最大200kg(440ポンド)の銅が必要になる可能性があると推定しています(出典:NVIDIA Technical Blog「NVIDIA 800 VDC Architecture Will Power the Next Generation of AI Factories」、https://developer.nvidia.com/blog/nvidia-800-v-hvdc-architecture-will-power-the-next-generation-of-ai-factories/)。データセンター全体の規模では、こうした導体の必要量が、電力損失、熱管理、利用可能なスペースと並ぶ重要な設計上の検討事項となります。
銅導体による配電のコストと物理的な要件に加え、低電圧・大電流機器から生じる熱が、主に2つの方向への技術開発を促しています。電流と必要な導体量を削減する高電圧DC配電と、電力変換性能を向上させるワイドバンドギャップ半導体です。