EV充電ステーションの自立型コンバータ

CO2排出量を削減しなければならない世界では、電気自動車が交通の未来を担っており、そのためには数kWのパワーレベルを持つ充電ステーションが必要です。充電ステーションには最新の半導体技術が使われており、その性能は絶え間なく向上しています。同時に、AC/DCアクセサリ電源も同じ品質要求を満たし、適切な効率を実現するために、さらなる適応と開発が必要になります。さらに、過電圧に対する絶縁強度や、ネットワーク上の電圧降下時の堅牢性についても大きな期待が寄せられています。充電ポールは自立していることが多いため、近くに雷が落ちるとトランジェントが発生してしまいます。そのため、ポールをサポートする電源ユニットにはそれに耐える堅牢さが求められます。

RECOMは、その対策としてAC/DC電源、ガルバニックまたは高電位の絶縁、および非常に高い絶縁強度を持つDC/DCコンバータなどを提供しています。

5WレンジのRAC05-SK/480はOVC IIIに分類されるAC/DCコンバータで、入力電圧範囲はAC85V～AC528Vと非常に広く、中性導体無しで単相システムではAC100V～AC277Vの相-ニュートラル接続、三相システムではAC208/480Vの相間接続が可能です。5V、12V、15Vの出力は、1分間の絶縁強度がAC4kVと規定されています。RAC05-SK/480の動作温度は-40〜+80℃で、充電ステーションなどの屋外環境での使用に最適です。

RAC10-SK/277シリーズは、補助電源として使用することで、より優れた性能を発揮します。入力電圧範囲はAC85V～AC305Vで、AC100V～AC277Vの単相接続に適しています。RAC05-SK/480と同様に、RAC10-SK/277もOVC IIIに準拠しています。産業用および家庭用の認証（IEC 60335）を取得したこの高コストパフォーマンス製品は、出力電圧がDC3.3V～DC2V、±DC12Vまたは±DC15Vとなっており、ほぼすべてのアプリケーションに対応しています。また、瞬間的な過負荷容量が140%であることから、突入電流の大きいバッテリー充電システムや監視システムのアクセサリー電源に最適です。

いずれのシリーズも、外付けフィルターなしでEMV規格（クラスB）に準拠し、アイドル運転時やスタンバイ時の電力消費が少なく、基板実装時のフットプリントも2インチ×1インチと省スペースです。

もう一つのシリーズは、電位分離型のDC/DCコンバータです。RxxCTxxは、強化絶縁されたAC5kVの絶縁型DC/DCコンバータ(動作電圧AC1kV,rms)で、低背のSOICケースに収められています。そのため、このコンバータは他のICと同様に扱うことができ、はんだ付けも可能です。レギュレートされた出力電圧は短絡防止機能を備えており、DC3.3VまたはDC5Vを選択することができます。500mWの性能は、センサーや通信インターフェースには十分すぎるほどです。動作温度範囲は非常に広く、400mWの負荷、DC5Vの入力電圧で-40℃～+110℃となっています。

RKE/Hシリーズは、よりオーソドックスな構造（SIP7、THT）ですが、1Wの高出力電圧で価格も安いため、コスト重視の機器に適しています。入力電圧はDC5V、12V、24Vで、DC5Vの出力電圧は、DC4kVの高い絶縁強度を持っています。電気的に絶縁されたインターフェースや、充電電流の監視やバッテリー電圧の監視など、コントローラーやセンサー電子機器への電力供給に適しています。RHEコンバータの効率は最大81％で、回路基板に干渉対策が施されていない場合は、小型のEMVフィルタを追加する必要があります（LC）。 どちらのタイプのDC/DCコンバータも、バッテリーチャージャーや電気自動車用チャージャー、いわゆる「ウォールボックス」に最適です。また、家庭用の充電器や、より強力な電気的絶縁が必要な多くの産業用アプリケーションにも使用できます。

また、48Vバッテリー用のEV充電ステーションもあります。これらは、無人搬送システム（AGV：Automated Guided Vehicle）や材料運搬車、ゴルフカーなどの小型車、あるいはプラグインハイブリッド車（PHEV）の充電ステーションなど、小型の電気自動車に使用されます。DC電圧はDC60V以下に抑えられるため、安全性のための電気的な絶縁は必要なく、絶縁型コンバータよりもコンパクトで効率的、かつコスト的にも有利な非絶縁型コンバータを使用することができます。RBBA3000はこのようなコンバータの一つです。入力電圧はDC9V～DC60Vで、プログラムされた0～DC60Vの出力電圧は、0～50Aの負荷で安定しています。コンパクトなハーフブリックフォーマット（63.2 x 60.6 x 13mm）で最大3kWの性能を発揮します。もう一つの利点は、シャント抵抗（電流シャント）を必要とせずに、負荷電流のモニタリングを可能にするImonピンです。他にも、48V→24Vまたは12V→24Vのバッテリー電源変換、バッテリー電圧安定化機能、または大容量のパワーラボDC電源などの特長が挙げられます。適切な冷却により、-40℃～+85℃の動作温度範囲で完全な性能を発揮します。前述の他の製品と同様に、このコンバーターにはRECOM社による2年間の保証が付いています。